信濃史学会第105回セミナー報告

2020/12/06


 第105回セミナーを2020年12月5日(土)長野県立歴史館でおこなった。
今年のセミナーは「古文書を守る」と題して、地域に眠る古文書など地域資料の調査や保全について考えたいとして計画をした。本セミナーは、信州近世史セミナー及び長野県立歴史館との共催行事でおこなった。
 13時、会場館である笹本正治長野県立歴史館長のあいさつ、主催者を代表して小松芳郎信濃史学会長の挨拶から始まった。
 研究報告は、「小諸市古文書調査室の取り組み」と題して市川包雄会員からおこなわれた。古文書目録の発行、古文書等の整理、古文書解読講座、出前講座の講師、調査依頼への対応など地域に密着した活動の様子が紹介された。民俗資料を見てほしいといった話から、古文書の寄贈になった事例、家を壊しているので資料を見てほしいといった切実な要望の事例などの事例が紹介された。
 続いて国文学研究資料館准教授の西村慎太郎氏から「『ウィズ・コロナ』社会の地域歴史資料保全」と題しての講演があった。
 最初に2014年11月20日長野県史料保存活用講習会での報告内容の確認があった。
 自治体における所在調査蓄積の重要性として、三重県では県史編纂時にあった史料が、2007年に古文書所在調査をすると17.2%が廃棄・散逸・不明となっていたこと、大分県でも3割もの史料が行方不明となっている事例が紹介された。災害時に歴史資料保全することの重要性として、古文書などは個人情報を含むので任意団体では扱いにくいこと、自治体が情報を蓄積すべき点が強調された。
 次に立科町芦田宿本陣土屋家の壁裏紙文書解体、山部高橋家文書保存・調査活動についての紹介があった。また、NPO法人歴史資料継承機構じゃんぴんについて、静岡県南伊豆町・東京都檜原村での保存・調査活動について話された。
 2000年以降の地域社会と文化財の課題として、古文書の散逸の原因が代替わり、引っ越し、年末の大掃除、災害、ネットオークションなどにある点が指摘された。文化財と観光について、文化財保護法の改正、史料の保存とまちづくり、文化財の予算などについても言及した。
 covid-19蔓延の状況下での歴史資料保全の事例として、NPO法人に27件の寄贈等の相談があったこと、報告会を行う困難さなどが紹介された。歴史資料の保存について 今後どのように取り組んでいったらよいのか多くの示唆を受けた講演会であった。
 信州近世史セミナーの大橋昌人代表から講師へのお礼の言葉が述べられ閉会となった。
 参加者33名。

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