2023年度(令和5年度) 定期総会・記念講演報告

2023/05/15


 2023年5月13日(土)、松本市あがたの森文化会館の講堂をお借りし、定期総会を開催した。
 この日は午前中、10時から理事会と各委員会が開催され、総会の進行内容が確認された。
 13時から総会が始まった。後藤芳孝会長からあいさつがあった。
 山口通之・福島正樹両氏に議長をお願いし、議事を進行した。2022年度事業報告及び決算報告、会計監査報告をおこなった。
 つづいて、2023年度事業計画及び予算について提案があり、承認された。
 25分間の休憩後、14時10分から、龍谷大学准教授の瀬畑源氏から「長野県の歴史公文書の管理を考える〜長野県公文書管理条例施行後の課題」と題した講演を聴いた。

(以下概要)
1 長野県の公文書管理条例制定の経緯
 阿部守一知事の取り組み
 2018年の知事選挙の選挙公約で条例制定の検討を明記した。
 知事が条例化を決断したのは、大北森林組合の不正事件、国の森友事件で公文書管理に注目が集まったことと、「しごと改革」や県政への住民参加のための情報公開の推進という自分の政策とかみ合ったためではないか。

 長野県の場合、「特定歴史公文書」の定義は移管した公文書のみであって、私文書は入らない。県情報公開・法務課の説明では、県立歴史館は「博物館法」に基づいた施設のため、「公文書館法」に位置付けられていないためとのことであった。

2 公文書審議会での公文書管理規程等の審議
 駆け込みの廃棄を避けるため、保存期間30年を超える文書の廃棄は2021年度にはできないようにした。1952(昭和27)年度までに作成、取得した公文書は原則移管となった。
 2022年4月から予定通り条例が全面施行された。

3 公文書廃棄の意見聴取
 廃棄が適当と報告されたファイル数は、70,747件で、公文書審議会によって廃棄は不適当として2,347件のファイルが、移管か保存年限の延長となった。この公文書以外、主管課が移管と判断したファイル数は1,208件であった。移管が適当とみなされた文書は廃棄公文書全体の約5%であった。
 リストが公文書審議会委員に来る前に選別をきちんとおこなうアーキビストの支援がほしい。
 
 瀬畑氏の報告のレジュメがしっかり作られ、長野県の公文書条例の制定と、その後の動きについてよくわかった。
 5分の休憩をはさみ、福島氏の司会で、講師と聴講者との意見交換がおこなわれた。
参加者33名。

2023年度(令和5年度) 定期総会・記念講演報告

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