第9回 地方史講座の報告(10月6日)
2024/10/06
10月6日(日)、第9回の地方史講座を穂高交流学習センター「みらい」多目的交流ホール(安曇野市)で開催した。公益財団法人八十二文化財団と安曇野市教育委員会に共催を御願いした。
地方史講座は県内4地区を順番に回り、地域で活躍している研究者に報告をしていただき、研究の成果をより多くの市民に提供し、歴史研究者・歴史愛好家の裾野を広げ、会の振興・活性化に繋げることが目的である。
今回の地方史講座は、民俗学者である倉石あつ子氏に講師をお願いした。講演の司会を多田井幸視氏にお願いし、話題を倉石氏から引き出す形で、倉石氏から多くの知見を頂いた。
民俗学を始めたのは、生まれた土地や家族構成、家族のそれぞれの在り方などが大きく影響していたと思う。大学に進んで1年生の5月の連休前に呼び込みをしている先輩につかまったのが、そもそもの始まりであった。民俗学の勉強には、旅行が欠かせないという言葉に引かれた。
農業のほかに養蚕をやっていた我が家の祖母や母の働きが研究を始めるベースであった。しかし、養蚕の在り方も地域によって異なり、特に安曇野地方では家蚕と天蚕がある。天蚕の飼育についても後に興味を持つようになった。養蚕を研究するのは、私が蚕を飼っていた世代の最終世代だと思うから、いま私の分かっている範囲のことを記録しておかないと養蚕の様々なことが分からなくなってしまうだろうと考えたからである。
家蚕については、すでに「古事記」や「日本書紀」に養蚕起源説話が載っており、養蚕は女性の役割と考えられていたことがわかる。近世の農書には、馬娘婚姻譚や、金色姫の話が伝えられている。養蚕と女性の関係が説話となっている。
孵化に女性がかかわる話(身体の熱で孵化させる話)が、群馬県片品村に残っていた。中国江南地方に見られた習俗にも、孵化に女性がかかわる話があり、中国の養蚕を見に行くきっかけともなった。
参加者41名。